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CTIジャパンというコーチ養成機関で一緒に学んだ仲間の安達貴之さん。
ずっと年上の方だけれど、話しやすい気さくなおじさんという印象でした。
同窓会などでお会いするたびに、何気なく話してくださることがとても心に残って、ぜひしっかりお話を伺いたいと思い、今回お時間をいただきました。
シンプルで、かつ深いお話を伺うことができました。どうぞお楽しみください。
仲間同士の気安さで、2人ともかなりくだけた口調になっていますが、ご容赦くださいませ。
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以前お話を伺った時に、奥様とケンカをしたことがないとおっしゃっていました。
どうしてそんなことができるんですか?と聞いたら、
「家の中ではいつも目の端に女房の姿を入れている」と。つまり“今洗濯しているなぁ”と何気なく意識を向けている。“ちょっと大変そうだなぁと思ったら手伝う”と。
サラッと言われたけれど、すごいことだと思ったんです。
安達)
すごいこっちゃないけれど。
人間の本性といいますか、特に人間にとっては大事、と言った方がいいかな、
元々、基本的な動機付けとして第一番に重視している点というのは、《存在証明》なんですよ。
《存在証明》のために人はポジションにつきたがるし、そうやって考えてくると“お墓”も同じじゃないかと思うんです。
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なるほど。ちゃんと生きていました、この世に存在していましたという《存在証明》がお墓。
安達)
そうそう。お墓の中に入ってまで、自分の存在を証明したい、それでやっと安心するというね。
人間のかなり根本的なところにそれが存在するんですよ。
だから会社の会議で手を挙げて発言したり、何かを主張したり、目立つことができなかったら面白くなかったりするわけね。
《存在証明》は、お金もうけをしたり、自分はどのように生きようかと考える時、自分のポジショニングをどうするかと考える時、などのすべてにかかってくる。
ただね、《存在証明》には、非常に相反することが一つあるんです。
たとえば会社の中では上司と部下。
上司が存在証明をとっていくと、部下の存在がなくなるんです。逆に、部下を存在させてやろうとすると、上司が死んでいくんですよ。
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死んでいくんですか。
安達)
そう!存在証明がなくなっちゃうわけ。
ま、“ポジション”と言う存在はあるけれども、「あぁ、あそこは彼(部下)がいるから成り立っているんだ」という感じになってくると、今度は上司がモチベーションを持てない。
かといってあんまりにも上司が強いと、部下がみんな死んでいくという、そういうねぇ相反する部分があるんですよ。
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そうですね。確かに。
安達)
それは家庭内でも同じだと思う。さっき言われた“妻をいつも目の隅に入れている”というのは、どこかに妻の存在を証明している何かを見ておいてあげないと、という、そういうのはちょっとあるよ。
それは根本的なところだから。逆に言えば非常に怖いよね。
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根本的なところだからこそ、それを大事にしないと、あっという間にモティベーションがなくなっちゃうし。
安達)
なくなっちゃうし。
子育てにしても同じだと思う。〈何を大事にするか〉ということと別に、根本的なところで人は存在
証明を求めて生きているから。
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お仕事では、《存在証明の大切さ》どのように活かされていますか?
安達)
私は360度評価の開発をやっていたから、そこに関わっているかな。「360度評価の実際」という本を書いて…
(360度評価とは、上司や部下・同僚や仕事上で関連する他部署の人など各方面の人が被評価者を評価する手法である:コトバンクより)
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ネットで3万円弱の値が付いているというあの本ですね。
安達)
そうそう、今はもう絶版でないんですけどね。社内で合併があった時に、もうこの際だと思って360度評価を導入してね、結果をグループの中で公にしていったんですよ。つまりみんな自分を丸裸にしていったんです。
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360度評価で。
安達)
そう。もうバーンと表が出ているから、それについて自分で説明するわけ。
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わー、こわい。
安達)
自分の説明が終わったら、今度は人がそれをどういうことだかはっきりさせていくわけだから。
こわいっちゃ、怖い。
でもねぇ、いっぺんに打ち解けるのね。お互いの“人となり”がわかるから。
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それで落ち込んだりする人も中にはいるでしょう?
安達)
いや、基本的にはいない。
Takayuki Adachi